最先端のセールスは、「世の中を塗り替えるテクノロジー」である。 〜B2B スタートアップのビジネスを加速させるために必要な5つのこと〜

どんなによいプロダクトをつくっても、それだけでは使われない。使われなければ、なんの価値も生まない。「優れたプロダクトをつくる技術」が必要なのと同様に、その価値を伝え「世の中を塗り替える技術」が必要だ。

freee は、これまでのバックオフィス業務のあり方を根本から塗り替えるプロダクトで、本質的な課題解決を目指している。例えば、経理業務の負荷を1/50にすることが可能だが、マーケットにこれまでになかったプロダクトであるがゆえ、そしてこれまで競争が緩やかで安定していたマーケットであるがゆえ、広めていくことは簡単ではないし、「世の中を塗り替える技術」を磨いていく必要がある。

それは、フェーズによっても変わってくる。freee 立ち上げ当初は、メインのユーザー層はインターネット活用度の高い個人事業主の方で、セルフサービスでの展開が可能であった。そのため、まずは、SNS上の口コミがフックとなって freee は広まっていったし、次に積極的なオンラインマーケティングが功を奏してfreeeの成長に拍車をかけた。

個人事業主の方からの支持を得ることができ、それによって得た信用によって、バックオフィスの変革において深いコンサルティングを必要とする法人セグメントもさらに強化しようという中で、freee はセールスチームを立ち上げた。

しかし、あらゆるスモールビジネスのバックオフィス業務を自動化し、みんなが創造的な活動にフォーカスできるようにすることを実現するためには、どのようなビジネスでも利用可能な低価格を崩してはならない。とすると、セールス活動をするにあたっても、本質に絞った活動に集中する組織づくりと運営を行わなくてはならない。

それこそが、これまでの営業というステレオタイプにとらわれない「世の中を塗り替える技術」であると僕は考える。

ここでは、freee のセールスチームの立ち上げにおいて中心的な役割を果たした2人を例に、「世の中を塗り替える技術」としてのセールスにとって重要な5つのことをまとめたい。

  1. まず、とにかくやってみる
  2. 理想ドリブンで次々と試して高速PDCAをまわす
  3. すべての活動をミクロ的マーケティングと捉える
  4. スケールさせることにこだわる
  5. 共感が得られるかどうか

「世の中を塗り替える技術」を体現する2人

畠山忠士

東京工業大学大学院卒。専攻は物理学だった。新卒で Google に入社。アドテクノロジーのコンサルティング営業を広告主向け、メディア向けの双方で担当。Google で 3 年を過ごした後に freee に参画。現在はカスタマーサクセスマネジメントチームのマネージャーを務める。チャームポイントは髪型。

大西正人

慶応義塾大学中退。 学生時代は、ITベンチャーでのインターンを経験した後、複数のベンチャー企業の立ち上げに携わる。freee にはインターンとして参画するも、3ヶ月で社員となる。現在は、大手会計事務所向けのコンサルティング営業を担う。

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1. まず、とにかくやってみる

freeeの価値基準である「アウトプット思考」とも密接に関連するが、新しいことに取り組んでいく際には、「まず、とにかくやってみる」ことが非常に重要だ。

畠山がセールスチームを立ちあげ、業務を開始しようとした時点では、当然CRMもなければ、顧客情報もまとまっていない。畠山はそんな状況の中でまずデータベースから顧客情報にアクセスするに際して、自分でSQLを書いて顧客データを取得し、セールス活動を開始した。その一方で salesforce の導入プロジェクトを動かす。後述するように、「世の中を塗り替える技術」においては、PDCAがとにかく重要だ。まず、走りだして、解決しなくてはならない課題も走りながら解決する。この考え方によって、圧倒的に速いスピードで改善とイノベーションを繰り返す体制をつくることができる。

この時期に入社した大西は、入社初日に、「もう電話していいですか?」と名乗りでた。実際に顧客と話すことにより、どんな課題を解決しなければならないのか、どう伝えれば魅力は伝わり、どう伝えれば伝わらないのかは明確になっていく。もし、チーム内の誰にもまだノウハウがない状況だったら、まず話してみるのが一番である。大西はこの日から、パートナーセールスチームへ異動するまでトップセールスとして活躍しつづけた。

いろいろな諸条件がそろっていなかったとしても、まず走りはじめて結果を見ていく。用意周到になりすぎると急成長は実現できない。

2. 理想ドリブンで、次々と試して高速PDCAをまわす

freee は 40万以上の事業所に登録いただいており、とにかく顧客数が多い。そのメリットとして、さまざまな活動の成果を統計的に分析して見ていくことが可能である。

すると重要なことは、さまざまな活動を記録しておき、実験を繰り返し、何が成果につながるのかを実証し、改善をつづけることだ。そしてこのPDCAサイクルをどれだけ速くまわせるかが大きなインパクトをうむし、どんどん新しい実験を企画し、実践していくことで様々なイノベーションを起こすことができる。

畠山は、画面共有によりデモができることが重要だと考え、画面共有ツールを導入してデモをするというプロセスをつくり、大きな成果を出した。大西は、会計ソフトだけでなく、給与計算ソフトを合わせて提案という新しいプロセスをつくり、大きな成果を出した。アイデアは、どんどん実験にうつし、その成果は定量的にわかる。チーム内でうまれるさまざまなイノベーションが定量的に検証され、プログラム化されていくのだ。

大西がよく熱く語ることがある。彼がこれまで経験してきた会社では、「前職ではこうだった」という経験でものごとが進んできた。freee ではそれがなくて、考えることは「理想」であったり「本質的な価値」であって、そのために必要なことはなんでも試せばよい。なんでも理想ドリブンで進められることが、freee の最大の強みだと。

freeeでは新しいことをやろうとしているのであって、そこで必ずしもこれまでの経験からくるものが正しいとは限らない。経験にとらわれず、新しいことをどんどん試し、結果を見るというPDCAを回せば回すほど、「世の中を塗り変える技術」には磨きがかかるし、この中にいることで、新しい本質がどんどん見えてくるようになることは非常に面白いことだ。

3. すべてのセールス活動はミクロ的マーケティング

一般的なマーケティングが「このようなセグメントの顧客にアクセスするベストな方法は何か、そのためにどのようなメッセージが重要か」を考えることは非常にマクロ的なアプローチであって、一方でセールスは個々の顧客というところにフォーカスをあててミクロ的なマーケティングを担っているのだ。使い古された言葉で言えば、セールス活動で重要なことは、「ひとりひとりの顧客を理解し、ひとりひとりの顧客に最適な提案をすること」であって、これはすなわちミクロ的なマーケティングなのだ。(あるいは、one-to-one マーケティングといわれてきているものがこれに近い)

そして、テクノロジーが進化した現代においては、このマクロ的なマーケティングとミクロ的なマーケティングの境界がうすれてきている。つまり、ミクロ的なマーケティング(=セールス活動)で生まれた知見は、すぐにスケーラブルなカタチでプログラム化することができる。すなわち、セールス活動のひとつひとつがマーケティング企画を産みだす活動となっている、という革命的な時代なのだ。

この革命を実現するひとつの手段は、マーケティングオートメーションである。つまり、ここのミクロ的マーケティング活動から見出された、個々の顧客に対するベストなアプローチはマーケティング・オートメーションにより、スケールできる。以前は、マクロ的なマーケティングでしかスケールできなかったマーケティング活動が、ミクロ的なアプローチから可能になったのだ。

freee ではセールスチーム発足のかなり初期からマーケティング・オートメーションのツールとして、 Marketo を導入している。 Marketo 導入は、セールスとマーケティングの双方からのコミットメントにより導入することが不可欠。非常に範囲が広いため、ゴールが見えず手探りな中でマーケチームと話し合いを続け、畠山は Marketo をセールス活動に組み込む基盤を作った。

一方で、プロダクト自体にもミクロ的マーケティングは影響を与える。大西は、これまでセールス活動から見出した顧客ニーズをプロダクトに反映する点でも、大きな功績をあげつづけている。例えば、まずは自ら顧客の乗り換えを手伝って、それをスケールさせるためにプロダクト開発アイデアを提案し、それが実行される。アイデアが freee の機能の一部になれば、インパクトは一人の人間が出せるインパクトを大きく上回る。

1件、1件がミクロ的マーケティングであるという考え方は、世の中を塗り替える技術を磨く上で非常に重要だ。

4. スケールさせることへのこだわり

ミクロ的マーケティングと非常に強く関連することであるが、スケールさせられる体制をつくっていくことも非常に重要だ。例えば、freee には、電話機がない。組織やビジネスオペレーションをスケールさせていく上で、そして自分たちの向かう方向性を実践する意味でも、電話はすべて twilio を利用し、クラウド上で電話機能を完結させることができる。

インターネットさえあれば、どこかれでも仕事ができる環境が実現されており、例えば最近オフィスの移転をした際にも、段階的な移転となったのであるが、どちらのオフィスからでも通常どおりオペレーションを進めることができた。

Marketo の導入も、まさにオペレーションをスケールさせることが目的であるし、マーケティングチームと密なコミュニケーションをとりながら、自分の知見をスケールさせることも重要であるし、前述の通り、実際に freee の機能を新機能を実現することで知見はスケールされていく。

最近では、セールス活動をよりスケールさせることを主なミッションとした開発チーム(その名も「GYOMU HACK」チーム)を設置し、いかにオペレーションをスケールできるかを徹底追求している。

チーム内で日々生まれてくる改善やイノベーションを、どれだけ世の中全体に大きなインパクトを与えられるものとして実現できるか。ここには徹底的に知恵をしぼらなければならない。

5. 結局、共感を得られるか

こうして、実験を繰り返しながら、科学的なアプローチをしていく一方で、セールス活動において、最終的に重要ことは、共感を得られるかどうかの一点である。

新規のプロジェクトとして立ち上がったセールス活動が軌道に乗りはじめた頃、畠山が熱くはなしていたのは、いかに freee のコンセプトに共感し、感情的にも喜んでいただけるようになったか、ということであった。freee の目指す世界観、みなでつくりあげたプロダクト、これらが本当にしっかりつたわることで、感動さえも産みだすことができるということは、組織全体の大きな自信につながった。

大西は、「共感を得るためには、個々のお客様の悩みや課題を明確にイメージできるようになることが大切」と語る。とても重要なことであるが、これを日本のスモールビジネス全体に適用できるよう、スケーラブルにしていくことは非常にチャレンジングな課題だ。1件1件の共感を大切にしながら、さらに数多くの顧客体験を向上させるオペレーションをつくっていかなければならない。

その先にあるもの

ビジネスを成長させていく課程では、1つの壁を突破すると、また新しい課題が浮かびあがってくる。そして対応すべく新しいオペレーションをつくっていく。畠山や大西が既に新たな課題に取り組んでいるのもその好例だ。

こうして、組織の成長を目の当たりにしていると思い出すのは、Google の元 CEO である Eric Shmidt が、現 facebook COO の Sheryl Sandberg へ贈ったキャリアアドバイスである。

Get on a rocket ship. When companies are growing quickly and they are having a lot of impact, careers take care of themselves. And when companies aren’t growing quickly or their missions don’t matter as much, that’s when stagnation and politics come in. If you’re offered a seat on a rocket ship, don’t ask what seat. Just get on.

「ロケット(的に急成長する乗り物)に乗りなさい。会社が急成長していて、大きなインパクトを創出しているのであれば、自然と素晴らしいキャリアがついてくるものだ。一方で、会社が急成長していなくて、どうでもいいミッションしか持っていないのであれば、そこには停滞感と政治活動が蔓延する。もし、ロケットに乗る機会を与えられたのなら、どんな席でも乗るとよい」

freeeは、あらゆるスモールビジネスが創造的な活動にフォーカスできる環境をつくるべく、ビジネスのプラットフォームの構築を目指している。それによりビジネスを経営することがよりクールなことになるし、小さなビジネスからより多くのイノベーションが生まれる世の中になるだろう。そのためには、まず、freeeはバックオフィス業務を効率化するソリューションとして圧倒的な支持を得るべく成長していかなければならないし、今後ビジネス領域もどんどん広がっていく。

そこには、いろいろな新しい挑戦や機会が待っているだろう。そして、僕達の「世の中を塗り替えるテクノロジー」はさらに高速で進化していくはずだ。

最先端のセールスは、「世の中を塗り替えるテクノロジー」である。 〜B2B スタートアップのビジネスを加速させるために必要な5つのこと〜」への1件のフィードバック

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