周囲に振り回されないプロダクト開発法 – freee のリリースからの学び

今回は、「クラウド会計ソフト freee」のリリースにおける学びについてまとめてみた。今後、新規にプロダクト開発を行う人や、ソフトウエアをコアとするスタートアップの人にとって参考になると嬉しい。周囲からのフィードバックをうまく活用できず、本来すべきだった仮説検証をしきれないケースというのはとても多いのではないかと思う。僕達の失敗もや苦悩などを含め、より多くのよいアイデアが力強く世の中に出ていく一助になれると嬉しい。

freee のリリースまでの間、評判は決してよくなかった

freee は 2013年3月19日にリリースされた。リリースまでの間、いろいろな方に見ていただいたり、触っていただいたが、実はリリース前の freee は決して評判がよいわけではなかった。「今までの会計ソフトで十分」、「この業界は30年間変わっていない。今さら変わる訳ない」、「自動で帳簿がつくのは気持ち悪い」など、いろいろなご意見をいただいた。参考になる部分も多かったが、心が折れそうにもなり、あるときには一旦フィードバックを聞くのをやめ、とにかく一旦完成させて公表して世の中全体に問うてみようという意思決定をしたほどだ。(写真は、当時一番精神的につらかったころの横路と平栗:それぞれ現CTO、開発本部長)

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リリースすると freee は大ヒット

その結果、自分たちが信じる価値をもつ最低限のプロダクトをつくることにひたすらフォーカスし、2013年3月19日、freee はいよいよ世の中に公表された。この時点では、一部の分かる方のニーズを強烈に満たすことができれば万歳、というような思いでいたのだが、予想に反して freee はインターネット上で大きな話題となり、予想していなかったアクセス集中で一時期はサービスを停止せざるを得なかったほどであった。

ターゲットユーザーとインターネットのフィット

リリース当初の freee のターゲット顧客は、個人事業主や小さな法人の経営者の方であった。インターネット上で積極的に情報に触れている方々であると同時に、インターネット上で自由かつ積極的に発言をする方々が多く、強い拡散力があった。インターネットの世界は広い訳で、例えネットで積極的に情報収集/発信をする人の割合は小さかったとしても、そのような方々の強い共感を得られれば、大きな数になる。そこまで計算していた訳ではないのだが、期せずして、freee は発信力のあるイノベーターの方々より強い支持を受けた。

マーケットリサーチでは捉えられないニーズ

僕は、自身のキャリアを通してマーケティング・リサーチを多くこなす仕事をしていた。その経験を通じて強く思うようになっていたのは「OOは欲しいと思いますか」といったようなリサーチ手法の限界だ。回答者はその時点で、価値を正しくイメージできないかもしれないし、ある程度周りの人々に支持されているという事実がないと価値になり得ない場合もある。一方で、例えば、「個人事業主の方で自分で会計帳簿をつけている人はどれほどの割合いるのか」のように潜在的なターゲット市場のボリュームを測定する上では、マーケティング・リサーチは大いに役に立つだろう。具体的なソリューションをマーケティング・リサーチで評価することは困難だ。

ではどうすればよいのか、 会計ソフト freee のリリースやその後の freee のプロダクト群のリリースからの僕の学びをここにまとめておく。

1. 狭めのターゲットセグメントをしっかりと定義すること

会計ソフト freee に関して言えば、ターゲットセグメントの定義は実はしっかりやっていた。しかし、ヒアリングなどをする際にズバリそのセグメントを代表する声を集められていたかというとそうではなかったところが問題であった。会計freee のリリース前のフィードバックとリリース後の実際の反応に大きな乖離があったの一因はおそらくここにあるだろう。会計ソフト freee に関して言えば、i) 自分で会計帳簿をつけている ii) 個人事業主あるいは小規模法人の経営者 iii) インターネット活用が非常にアクティブ (具体的にどんなサービスを使っている人だと範囲に入るのかも定義していた)というようなイメージを持っていたのだが、実際にヒアリングさせて頂いた方はこの3つを厳密に満たしていないケースが多かったと振り返ってみれば思う。

一方、このターゲットセグメントがうまく機能した例もある。例えば、freee はリリース時点で Chrome/Safari 以外のブラウザをサポートしなかった。もちろん、当時 Internet Explorer のシェアは無視できない大きさであった訳だが、テストなどの負荷も考慮して思い切ってサポート外とした。結果として、リリース後3ヶ月ほどの間は IEからのアクセスはほとんどなく、適切な絞り込みができたといえる。

このターゲットセグメントは、特にリリース時は狭めに持っていていいと思う。まずはイノベーティブな狭い範囲の方々の心をつかむことが重要で、それができれば周辺にさらに広がっていく素地ができるのだと思う。

また念の為に定義すると、このターゲットセグメントはペルソナとも違うと思う。ペルソナがチームが一緒にめがけるべく1点を定義するようなものであるが、ターゲットセグメントはストライクゾーンを定義するものだ。エモーショナルな部分のみで評価されるプロダクトでなければ、最初は開発チームも小さいだろうし、ペルソナを定義するより狭めのターゲットセグメントをしっかり定義し、そのセグメントの持つペインポイントをしっかりと解決することがとても重要だ。

2. 明確なベネフィットを定義して、確保すること

「OOな商品を欲しいと思いますか?」に対して賛同を得るよりも重要なことは、自分たちで明確なベネフィットを定義して、実際にそのベネフィットを提供できているかどうかという事実である。会計 freee があまりポジティブでないフィードバックを受けている中で心折れることなくリリースまで突き進むことができたのは、帳簿付けにかかる時間を「50分の1」にすることができるという自分たちの実験の結果であった。これは、既存の会計ソフトでまずは入力の練習をし、同様の作業を freee で行った場合どうなるかというデータであるが、自分たちの実験の結果圧倒的な差がつくれるということに自信を持っていた。これによって、ぶれずに進むことができたし、この圧倒的な差があれば、絶対に風穴をあけられると思った。そして、うまくいかなかったときには明確な学びにもなるだろうと思った。(失敗する際にも学びになる失敗であるかどうかで大きな差がある)

このように、どのようなターゲットセグメントに対して、具体的にどんなベネフィットを提供することができたら勝ちなのか、これを考えて一旦この点にフォーカスしてみることが重要だ。

最低限で最高速ですすめること

振り返ってみると会計ソフト freee はあと2ヶ月早くリリースできたのではないかと思っている。そしてのその2ヶ月という時間は非常に重要な時間であった。今は法人における利用が大きく進んでいる freee であるが、当初は個人事業主の確定申告における利用のニーズが最も大きかった。しかし、2013年3月19日というリリース日は残念なことにその年の確定申告の直後である。あと2ヶ月早くリリースをすることができれば、確定申告に関する知見をさらに1年分多く持つことができたのだ。

では、どのように2ヶ月を縮めることができたのか。

まず、創業直後、Google を退職して一旦時間ができたことを期に、freeeはどうあるべきかをゼロベースで考えなおしてしまったことが挙げられる。このとき、結果として結論はかわらなかったし、アイデアがあるなら形にしてしまうことの方がよほど大事だというのをこの時の経験からも思う。これに加えて、freee はリリース時点では最低限ではなく、定義していたターゲットセグメントやベネフィットに対して少しオーバースペックでもあった(いわゆる MVP – Minimum Viable Productとはかけはなれていたと思う)。

これらを回避するのは非常に難しいことであるが、この経験を臥薪嘗胆として「アウトプット⇛思考(まずアウトプットする、そして考え改善する)」という freee の会社としての価値基準にもなっている。重要な学びとしてカルチャーとしていくのも大切であるし、もうひとつ付け加えるとすると、厳しいタイムラインを立て、それを忠実に守るということによって、自然と削ぎ落とされMVPへとベクトルが向かうのではないかと思う。

読書も大事だった – キャズムとイノベーションのジレンマ

創業当初、開発に没頭してコーディングスキルを高めることに必死だった僕は、あまりビジネス書なるものを読まなかった。会社として freee がある程度成長してきた段階から、課題を感じるような分野については、一度初心にかえって評判のよい本を読んで見るということをやってみたが、中でも最初から読んでおけばよかった、と思う本は「キャズム」と「イノベーションのジレンマ」である。読んでおけばもっと大胆にイノベーターを向いたリリースまでのプロダクトづくりができたのではないかなと思っている。

   

リリース当初のユーザーの要望は非常に重要である

リリース直後、反応がよかった場合には多くのユーザーに利用いただき、多くのフィードバックをいただける。これはとてもありがたいことであるのはもちろんのこと、この初期のフィードバックにはしっかりと注意を払うべきだ。というのも、初期のフィードバックには、「リリース前に想定していなかったが、確かにこれできないとだめだよね」というような至極当たり前のことが非常に多く含まれているからだ。

会計ソフト freee も特にリリース後のフェーズにおいては徹底的にユーザーからのフィードバックによって育てられたし、それがなかったら今頃どうなっていたことかと思うことすらあるほどだ。

もちろん、その後のフェーズにおいてもフィードバックは非常に重要であり続け、しっかりと受け止めていかなければならない。ただし、プロダクトが成長するにつれ、即座に対応するというよりは、フィードバックをいただいたユーザーが背景に抱える課題をしっかりと把握するということが大事で、その上でその課題を解決するために、僕達の場合であれば freee らしいベストなソリューションは何かを問いなおしてみることが重要となり、少し対応の仕方が変わっていくことが自然であり効果的だと思う。

まとめ

今回は freee を例として、初期のプロダクト開発において重要と思える点をまとめてみた。自分自身でも経験していることだが、さまざまなフィードバックを受ける中で芯の強いプロダクト開発をすることは非常に難しいことだ。新しいものを世に出すにあたっては誰もが不安を持つだろう。でも、その不安に打ち克ち、もっともっと新しくエッジの効いたアイデアが試されるべきだ。失敗を恐れるのではなく、失敗したとしても、その後の学びとなるような「活かせる失敗」とすることを目指そう。そのために、月なみながら、強い仮説としてのターゲットセグメントとベネフィットが研ぎ澄まされていることは非常に重要な武器だと感じている。

起業の失敗を活かしてスタートアップで活躍するということ

よく、「起業するときに、失敗するの怖くなかったですか?」ということを聞かれる。僕はまったくもって怖いと思わなかったのだが、その大きな理由のひとつは、「失敗したとしても、それは絶対にいい経験になる」と思っていたことにある。

僕が以前勤めていた Google には世界中の元起業家がたくさんいたし、その中には活躍している人も多かったので、なんとなく「失敗しても、それは糧になる」というイメージを持っていたということがベースにあると思うのだが、実際、起業の経験がどのようにその後のキャリアに影響を与えるものなのか検証すべく、社内で活躍する営業チームの元起業家をあつめて座談会を実施、そのエッセンスについて考えてみた。

【まとめ】起業から学び、スタートアップで活かされている 4 つのこと

  1. 仲間の重要性を理解し、チームをより活用できる
  2. 視座があがり、より大きな枠組で考えられる
  3. ビジョンの重要性を痛感し、ぶれない意思決定ができる
  4. よりタフなメンタリティが持てるようになる

登場人物

宇津木貴晴:

青山学院大学理工学部卒。インターンとして関わっていたベンチャー企業に新卒として入社。事業部長として事業拡大に貢献し、5年目に本事業を買収し独立。その後改めてゼロから事業を作りたいと考え、中小企業向けに集客支援クラウドサービスを提供する会社を設立し2度目の独立。2015年にfreeeに参画し、セールス内のコンサル営業チームに従事。

小原史明:

専修大学ネットワーク情報学部卒。新卒で株式会社いい生活に入社。入社4年目で最年少営業部長に抜擢され全国営業部売り上げNo.1を達成。その後セールスフォースドットコムでの新規開拓営業、オンラインマーケティング支援会社の起業を経て2014年にfreee に参画。現在はセールスチームのマネージャーを務める。

野崎真司:

明治大学商学部卒。新卒で不動産会社に入社し1年後に退社。その後、DeNAに入社しEC事業に従事。新規獲得営業、ECコンサル、新規サービスの立ち上げなどを担当。その後SMB向けのEC支援事業で起業。2015年にfreeeに参画し、セールス内のコンサル営業チームに従事。

どんな事業をやって失敗したのですか?

野崎:あらかじめ断っておきますが、僕は一応失敗した訳ではありません笑 あくまで起業経験組です。新しいサービスをつくりたいと思って、以前いたDeNAの部長とマーケティングのリーダーと三人で会社をおこしました。DeNAだと大きいビジネスでないとGOを出せなかったが、もう少しスモールビジネスの人向けの、小回りがきくサービスを作りたいという思いでした。EC関連をやっていたので、新しいサービスを立ち上げるにあたって、一番最初は食うに困ってコンサル事業をやって、お金は稼げるもののサービスを立ち上げるところまでなかなかたどりつかなかったんです。お金に困るということはなかったのですが、とにかくサービスをつくる時間がなかった。他のメンバーはまだ事業を続けているので、失敗ではないです。

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宇津木: 自分は2回起業しています。学生のころから起業したいと思っていて。当時世間を賑わわせたホリエモンやサイバーの藤田さんを見て、若くして会社を作るということを知ったんですよね。最初から責任をもって社会に影響を与えるということが衝撃だった。まずはベンチャーでインターンを始めました。入ったのが6人くらいの会社でクラウドを売る事業をしていたんです。その事業を潰すという話がでたので、じゃあ自分にやらせてほしいと手を上げ、1人でやらせてもらった。そのまま入社して、5年後くらいに後その事業を買い取ったんです。

ただ、もう一度、ゼロからやりたいと思い、独立したのが2回目の起業。社会的意義がある、世界にインパクトがあることをしたかったので、何をしようか考えメンバーをあつめて資金調達しようとか考えてやっていたんだけど、メンバーが一緒にできなくなってしまい、スタートから何もない状態になってしまって。まずは生きていかなきゃいけないのでサービスを考えて、生活はできるようになって、ふと気づいたらすごく楽な生活をしていて、人によってはそれは成功になるのかもしれないが、自分にとっては違いましたね。クラウドで月額課金制、営業は代理店。ある程度お客さんがいてあまり解約されなかったのである程度の収入は何もしなくても入ってくるんです。毎日暇で、安堵してしまった。当時は、楽だなあと思ったんですけど、考えてみたら何も成長していないなあと気付きました。20代にがんばった経験の貯金を切り崩してる感じですね。

小原: セールスフォースをやめるちょっと前から会社をやってました。昔から起業したいと思ってたんですが、20代で一度会社を作らないとずっとずるずるいっちゃうかなと思って。もうひとりの仲間と一緒に会社を立ち上げることになりました。

営業畑にいたので、webマーケや集客に興味があったんです。まずはつながりがあった不動産会社や芸能プロダクションのの web 周りのマーケティング支援をしていました。

最初は成果報酬で調子が良かったんだけど、その後もめることも出てきました。効果は出たけど、最初にいってた効果と違うとか。売掛で回収できなかったりとか。

気づくとニッチな産業の穴ばかり探すことになってしまい、最初にやりたいと思っていたスケールするビジネスはできなくなってしまいました。起業でたくましくはなったけど、成長という点では、企業に属していた時の方があったなと。

このような経験から、どんな学びがあり、どのように活かされているのかを自由にディスカッションしていく。

仲間の重要性を理解し、チームをより活用できる

宇津木:僕は、1人でやってたので、1人ってだめだと思った。目的にもよるけど、何か事業を加速させるときって仲間がいないと、相談する相手もいない。結局1人って会社としてやってる意味がないなと。

小原:  同感。組織で人と働くことが重要だということが、起業で逆に分かりました。自分1人だと刺激が少ないから。お客様や取引先とはあるけど、仲間内ですごいなという人と一緒に働くことはなくなる。だから仲間の重要性がわかるようになって、自分の知らなかった意見や違う発想の切り口を積極的に取り入れていけるんですよね。freeeで、他のチームや上司、新しい人とのリレーションをつくっていくことはすなわち自分の成長に繋がるんです。起業前はこんなこと気づかなかった。

野崎: 起業すると何でも自分で決められるという側面もあるけど、自分でゼロからサービスを作ろうと思うと、超遅いんですよね。インパクト残すんだといきがってみるものの、スピードが遅い。

既にリリースしているサービスを優秀なエンジニアと連携しながらやることで、インパクトが全然違うよねということが心の底から理解できるんだと思います。

小原: あと、少人数でやっていて目線が狭くなっちゃうことも多かったのですよね。目の前のことに夢中になって、お金を回収する作業がうまく行かなかったりとか。入金されるっしょと思ってたらされてない。200万なのに50万しか入ってない、どうする?みたいな。社長のところにいって「契約書ありますよね」と言ったら、「分かんない」とか言われて。結局解決しなかった。実は社長だと思ってた人が仮置きされてる人で、オーナーが別にいた。そのオーナーのコミットメントをとれていなかったんですよね。営業として基本的なことができてなかったんです。もっと仲間と議論して、振り返りをしていればこういうことも防げたのかなと。

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視座があがり、より大きな枠組で考えられるようになる

野崎:起業した後、freeeに入って組織の中での自分の役割が有機的にわかるようになりました。目線が高くなるというか。漫然と働くというところから一度外れることで見えてくるものがありました。例えば、新しい機能がリリースされましたという話は、起業以前は「リリースしたんだ」くらいだったのですが、今はこれが出たらもとこれもできるんじゃないか、あれもできるんじゃないかと考えるようになって、組織の中で起こるあらゆることを有効活用できるようになる。

宇津木:ビジネスがうまくいってないときなんかに、僕は、生きることについて真剣に考えた。生きてる意味というか。客観的に自分を見つめなおすというか。

野崎:そう、一旦自分を見つめなおすことで気づくことがある。忙殺されて気づいていなかったことに起業を挟んだことで気づいたんです。結果、事業全体を自分事として捉えてみる力ができた。「この会社と一緒に」、どう価値をつくれるかを考えるようになる。もちろん、そう思える会社じゃないと働きたくない、という気持ちはさらに強くなる訳ですが。

僕:確かに、視座はあがるよね。僕は起業すること自体ははじめてだけれど、学生時代にスタートアップで本気でインターンしていたことがあったり、その後も小さな組織で働くことが多かったので、そういうことは、部分最適ではなく全体最適を常に考えるために役に立ったと思う。

ビジョンの重要性がわかり、ぶれない意思決定ができる

宇津木:まずは生きていかなきゃいけないのでサービスを考えて提供し、生活はできるようになったんだけど、ビジョンとか何もなかったです。とりあえず生きていければいい、お金が入ってくればよいと思い、元々考えたところとはまったく違うビジネスにいってしまいました。目先のお金に振り回されたというか、追われたなというのはありますね。

小原: とりあえずビジネスやり始めてお金が回ったら勝手にビジョンができるかと思っていたらそうじゃなかった。ビジョンを、方向性だけでも持っておいて、そこへの階段を登っているという感覚を作るのが大切だなぁとつくづく思います。

多分、起業にはお金とビジョンの二軸があるんですよね。

お金は儲かれば儲かるほど、もっと儲けるにはどうしたらいいかという話ばかりになって、いろいろなことを見失う。稼ぐためのビジネスだと、全然やりたくもないことに関わっていったりとか。

だからこそビジョンを最初に作っておくべきですね。

単純に儲かるで飛び込むと、どっかで終わりが来るんですよね。半年くらいものすごい利益出してもいきなり切れたりとか。利益率が高いお客さんがいなくなって、すぐ利益が出なくなるとか。今単発で儲かるビジネスを考えがちになってしまう。儲かるものがなくなると、ホワイトボードに向かって儲かることを考える。そしていつのまにかホワイトボードに向かってる時間がどんどん長くなる。ここ市場ありそうだねとか、そういうことばかりやっちゃう。ビジネスモデルを組み立てるだけ。

もっと実行したものにフォーカスするべきだったと思う。ゼロイチばかりやるのではなく、1を100とか200にするというか。強いビジョンがないとそれってできないのですよね。

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野崎: freee の立ち上げのころはぶれなかったんですか?

僕: 当然、ぶれぶれのときもあった。ただ、「ビジネスを経営する人達が、自分の好きなことさえしていれば事業をカンタンに推進できるような環境をつくりたい」 というゴールは変わっていなくって、一時期は会計ソフトよりももう少し小さなものから始めようかという話もでたけど、ど真ん中の会計ソフトで勝負をすることにした。最初の頃だと、どこまでをぐいぐい決めてよいのかも難しいし、開き直るまでにはちょっと時間かかったけど。

当然、メンタルはよりタフになる

宇津木:やはり、生きることについて真剣に考えるくらいなんで、メンタルがタフになるんですよね。

小原:給料から勝手に年金がひかれるという訳でもないので、いろいろかかるコストに何のために払ってるんだっけ、とか苦しいときに思った。起業して半年くらいの一番苦しい時に住民税の請求とか届くんですよね。え、このタイミングで?って。こういうの経験すると本当に強くなる。

また、いろんなこと起こるから、そこも身軽になるしタフになります。「明日いける?」って言われて、次の日にハワイにいったりとか。

宇津木: 俺、アフリカとか行った。ほぼ、現実逃避でした。でもアフリカでやっぱり自分でプロダクトつくれなきゃいけないよねと思ったんです。面白い Web サービス思いついたんで、23時間のドバイのトランジットでずっと開発の勉強をしました。そのプロダクトは単純に面白そうだからつくってみて、今思えば何の課題も解いていなかったので当然失敗しましたが。

現実逃避にアフリカにいっても、そんな瞬発力はあった。

それからなんといっても、メンタルでいえば、「モチベーションがあがらない」みたいなことがないんですよね。起業してると、当然モチベーションが上がらないと会社潰れるし。。考えたこともなかった。多分、プロスポーツ選手とかも、そんなこと考えてないんじゃないかなと思います。

組織の中にいても、そもそも自分の周りの人達にモチベーションを与えられる人になれば、自分のモチベーションを考える必要もなくなると思うし。

僕: じゃあ、やる気ないときってないの?

宇津木: なくはないけど、それを他人のせいにしないというか。結構自分で解決できることは多いなと思います。

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元起業家キャリアと freee

野崎:自分たちのサービス開発のため、いろいろなビジネスについて調べているうちに、freeeを知り、これは確実にスケールするビジネスだと思ったんです。自分が立ち上げるときにはストック型のビジネスを作りたくて。それを形にするのがどれだけ難しいというのが肌感としてあった中、freeeはそれが形になっている会社だったんです。

宇津木:そう、スモールビジネスの人にITを使って支援することをずっとやってきたので、あらゆるビジネスで 必要になる会計ソフトを中心とする freee のプロダクトはインパクトを与えられる範囲としては一番大きくて最終形だと思ったんです。自分がやってきた中で。これまで一人でやってきて、「自分が心底共感できるか?」というとこを特に考えましたね。

小原:ビジネスモデルに加えて、自分でやることの限界を感じていたので、とにかく優秀な人、すごい人と働きたいと思ってたんですよね。すごい人って曖昧なんですが、面接とかで、「すっげー、この人に勝てない」と思えた。

野崎:価値基準もよかった。「理想ドリブン」というのが一番刺さって。自分たちに一番欠けていたから。

宇津木:freee にとってのお客様である経営者と話すとき、いろんな感覚が非常によく分かるんです。具体的に、アドバイスしたり相談にのれる。年後にこうなるから今のうちにこうした方がいいですよとか。

一同:それ、あるある

宇津木: もっと起業経験者来てほしい!

小原: 起業しても戻ってこれるよみたいな。ちゃんとビジョン持とうといいたい。

野崎: 経営陣や起業失敗組とアイデアについて語る会とかやる?

宇津木: 会社設立 freee に「まだ迷っている」ボタンをつけて、そこから案内するとか。あと、会社設立 freee に「ビジョンを入力してください」とかもいいかも。

小原: 答えによっては、「まだまだ早いですね」とか。

(一同笑)

考察

今回は、起業経験について社内座談会を実施するというフォーマットで、起業からの学びについて考えてみた。個人的には一番以外だったのは、起業して仲間の重要性を再実感するという部分であった。確かにこれは、僕自身も freee の経験を通して強く言えることだと思うし、こういったところも再認識する場として、面白い議論だった。

freee は、自分たちの提供する価値を通して、より多くの人が起業に挑戦しやすい環境づくりを実現することをひとつのゴールとしている。一方で、組織としても、元起業家などから多くの刺激を受けて、周囲からユニークな感覚やマインドセットを学び取れる環境でありたいと思う。

僕が成長期の Google で周りから受けたいろいろな刺激を超える刺激を持てる会社にしていきたいと今回の議論を通して、あらためて思った。

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最先端のセールスは、「世の中を塗り替えるテクノロジー」である。 〜B2B スタートアップのビジネスを加速させるために必要な5つのこと〜

どんなによいプロダクトをつくっても、それだけでは使われない。使われなければ、なんの価値も生まない。「優れたプロダクトをつくる技術」が必要なのと同様に、その価値を伝え「世の中を塗り替える技術」が必要だ。

freee は、これまでのバックオフィス業務のあり方を根本から塗り替えるプロダクトで、本質的な課題解決を目指している。例えば、経理業務の負荷を1/50にすることが可能だが、マーケットにこれまでになかったプロダクトであるがゆえ、そしてこれまで競争が緩やかで安定していたマーケットであるがゆえ、広めていくことは簡単ではないし、「世の中を塗り替える技術」を磨いていく必要がある。

それは、フェーズによっても変わってくる。freee 立ち上げ当初は、メインのユーザー層はインターネット活用度の高い個人事業主の方で、セルフサービスでの展開が可能であった。そのため、まずは、SNS上の口コミがフックとなって freee は広まっていったし、次に積極的なオンラインマーケティングが功を奏してfreeeの成長に拍車をかけた。

個人事業主の方からの支持を得ることができ、それによって得た信用によって、バックオフィスの変革において深いコンサルティングを必要とする法人セグメントもさらに強化しようという中で、freee はセールスチームを立ち上げた。

しかし、あらゆるスモールビジネスのバックオフィス業務を自動化し、みんなが創造的な活動にフォーカスできるようにすることを実現するためには、どのようなビジネスでも利用可能な低価格を崩してはならない。とすると、セールス活動をするにあたっても、本質に絞った活動に集中する組織づくりと運営を行わなくてはならない。

それこそが、これまでの営業というステレオタイプにとらわれない「世の中を塗り替える技術」であると僕は考える。

ここでは、freee のセールスチームの立ち上げにおいて中心的な役割を果たした2人を例に、「世の中を塗り替える技術」としてのセールスにとって重要な5つのことをまとめたい。

  1. まず、とにかくやってみる
  2. 理想ドリブンで次々と試して高速PDCAをまわす
  3. すべての活動をミクロ的マーケティングと捉える
  4. スケールさせることにこだわる
  5. 共感が得られるかどうか

「世の中を塗り替える技術」を体現する2人

畠山忠士

東京工業大学大学院卒。専攻は物理学だった。新卒で Google に入社。アドテクノロジーのコンサルティング営業を広告主向け、メディア向けの双方で担当。Google で 3 年を過ごした後に freee に参画。現在はカスタマーサクセスマネジメントチームのマネージャーを務める。チャームポイントは髪型。

大西正人

慶応義塾大学中退。 学生時代は、ITベンチャーでのインターンを経験した後、複数のベンチャー企業の立ち上げに携わる。freee にはインターンとして参画するも、3ヶ月で社員となる。現在は、大手会計事務所向けのコンサルティング営業を担う。

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1. まず、とにかくやってみる

freeeの価値基準である「アウトプット思考」とも密接に関連するが、新しいことに取り組んでいく際には、「まず、とにかくやってみる」ことが非常に重要だ。

畠山がセールスチームを立ちあげ、業務を開始しようとした時点では、当然CRMもなければ、顧客情報もまとまっていない。畠山はそんな状況の中でまずデータベースから顧客情報にアクセスするに際して、自分でSQLを書いて顧客データを取得し、セールス活動を開始した。その一方で salesforce の導入プロジェクトを動かす。後述するように、「世の中を塗り替える技術」においては、PDCAがとにかく重要だ。まず、走りだして、解決しなくてはならない課題も走りながら解決する。この考え方によって、圧倒的に速いスピードで改善とイノベーションを繰り返す体制をつくることができる。

この時期に入社した大西は、入社初日に、「もう電話していいですか?」と名乗りでた。実際に顧客と話すことにより、どんな課題を解決しなければならないのか、どう伝えれば魅力は伝わり、どう伝えれば伝わらないのかは明確になっていく。もし、チーム内の誰にもまだノウハウがない状況だったら、まず話してみるのが一番である。大西はこの日から、パートナーセールスチームへ異動するまでトップセールスとして活躍しつづけた。

いろいろな諸条件がそろっていなかったとしても、まず走りはじめて結果を見ていく。用意周到になりすぎると急成長は実現できない。

2. 理想ドリブンで、次々と試して高速PDCAをまわす

freee は 40万以上の事業所に登録いただいており、とにかく顧客数が多い。そのメリットとして、さまざまな活動の成果を統計的に分析して見ていくことが可能である。

すると重要なことは、さまざまな活動を記録しておき、実験を繰り返し、何が成果につながるのかを実証し、改善をつづけることだ。そしてこのPDCAサイクルをどれだけ速くまわせるかが大きなインパクトをうむし、どんどん新しい実験を企画し、実践していくことで様々なイノベーションを起こすことができる。

畠山は、画面共有によりデモができることが重要だと考え、画面共有ツールを導入してデモをするというプロセスをつくり、大きな成果を出した。大西は、会計ソフトだけでなく、給与計算ソフトを合わせて提案という新しいプロセスをつくり、大きな成果を出した。アイデアは、どんどん実験にうつし、その成果は定量的にわかる。チーム内でうまれるさまざまなイノベーションが定量的に検証され、プログラム化されていくのだ。

大西がよく熱く語ることがある。彼がこれまで経験してきた会社では、「前職ではこうだった」という経験でものごとが進んできた。freee ではそれがなくて、考えることは「理想」であったり「本質的な価値」であって、そのために必要なことはなんでも試せばよい。なんでも理想ドリブンで進められることが、freee の最大の強みだと。

freeeでは新しいことをやろうとしているのであって、そこで必ずしもこれまでの経験からくるものが正しいとは限らない。経験にとらわれず、新しいことをどんどん試し、結果を見るというPDCAを回せば回すほど、「世の中を塗り変える技術」には磨きがかかるし、この中にいることで、新しい本質がどんどん見えてくるようになることは非常に面白いことだ。

3. すべてのセールス活動はミクロ的マーケティング

一般的なマーケティングが「このようなセグメントの顧客にアクセスするベストな方法は何か、そのためにどのようなメッセージが重要か」を考えることは非常にマクロ的なアプローチであって、一方でセールスは個々の顧客というところにフォーカスをあててミクロ的なマーケティングを担っているのだ。使い古された言葉で言えば、セールス活動で重要なことは、「ひとりひとりの顧客を理解し、ひとりひとりの顧客に最適な提案をすること」であって、これはすなわちミクロ的なマーケティングなのだ。(あるいは、one-to-one マーケティングといわれてきているものがこれに近い)

そして、テクノロジーが進化した現代においては、このマクロ的なマーケティングとミクロ的なマーケティングの境界がうすれてきている。つまり、ミクロ的なマーケティング(=セールス活動)で生まれた知見は、すぐにスケーラブルなカタチでプログラム化することができる。すなわち、セールス活動のひとつひとつがマーケティング企画を産みだす活動となっている、という革命的な時代なのだ。

この革命を実現するひとつの手段は、マーケティングオートメーションである。つまり、ここのミクロ的マーケティング活動から見出された、個々の顧客に対するベストなアプローチはマーケティング・オートメーションにより、スケールできる。以前は、マクロ的なマーケティングでしかスケールできなかったマーケティング活動が、ミクロ的なアプローチから可能になったのだ。

freee ではセールスチーム発足のかなり初期からマーケティング・オートメーションのツールとして、 Marketo を導入している。 Marketo 導入は、セールスとマーケティングの双方からのコミットメントにより導入することが不可欠。非常に範囲が広いため、ゴールが見えず手探りな中でマーケチームと話し合いを続け、畠山は Marketo をセールス活動に組み込む基盤を作った。

一方で、プロダクト自体にもミクロ的マーケティングは影響を与える。大西は、これまでセールス活動から見出した顧客ニーズをプロダクトに反映する点でも、大きな功績をあげつづけている。例えば、まずは自ら顧客の乗り換えを手伝って、それをスケールさせるためにプロダクト開発アイデアを提案し、それが実行される。アイデアが freee の機能の一部になれば、インパクトは一人の人間が出せるインパクトを大きく上回る。

1件、1件がミクロ的マーケティングであるという考え方は、世の中を塗り替える技術を磨く上で非常に重要だ。

4. スケールさせることへのこだわり

ミクロ的マーケティングと非常に強く関連することであるが、スケールさせられる体制をつくっていくことも非常に重要だ。例えば、freee には、電話機がない。組織やビジネスオペレーションをスケールさせていく上で、そして自分たちの向かう方向性を実践する意味でも、電話はすべて twilio を利用し、クラウド上で電話機能を完結させることができる。

インターネットさえあれば、どこかれでも仕事ができる環境が実現されており、例えば最近オフィスの移転をした際にも、段階的な移転となったのであるが、どちらのオフィスからでも通常どおりオペレーションを進めることができた。

Marketo の導入も、まさにオペレーションをスケールさせることが目的であるし、マーケティングチームと密なコミュニケーションをとりながら、自分の知見をスケールさせることも重要であるし、前述の通り、実際に freee の機能を新機能を実現することで知見はスケールされていく。

最近では、セールス活動をよりスケールさせることを主なミッションとした開発チーム(その名も「GYOMU HACK」チーム)を設置し、いかにオペレーションをスケールできるかを徹底追求している。

チーム内で日々生まれてくる改善やイノベーションを、どれだけ世の中全体に大きなインパクトを与えられるものとして実現できるか。ここには徹底的に知恵をしぼらなければならない。

5. 結局、共感を得られるか

こうして、実験を繰り返しながら、科学的なアプローチをしていく一方で、セールス活動において、最終的に重要ことは、共感を得られるかどうかの一点である。

新規のプロジェクトとして立ち上がったセールス活動が軌道に乗りはじめた頃、畠山が熱くはなしていたのは、いかに freee のコンセプトに共感し、感情的にも喜んでいただけるようになったか、ということであった。freee の目指す世界観、みなでつくりあげたプロダクト、これらが本当にしっかりつたわることで、感動さえも産みだすことができるということは、組織全体の大きな自信につながった。

大西は、「共感を得るためには、個々のお客様の悩みや課題を明確にイメージできるようになることが大切」と語る。とても重要なことであるが、これを日本のスモールビジネス全体に適用できるよう、スケーラブルにしていくことは非常にチャレンジングな課題だ。1件1件の共感を大切にしながら、さらに数多くの顧客体験を向上させるオペレーションをつくっていかなければならない。

その先にあるもの

ビジネスを成長させていく課程では、1つの壁を突破すると、また新しい課題が浮かびあがってくる。そして対応すべく新しいオペレーションをつくっていく。畠山や大西が既に新たな課題に取り組んでいるのもその好例だ。

こうして、組織の成長を目の当たりにしていると思い出すのは、Google の元 CEO である Eric Shmidt が、現 facebook COO の Sheryl Sandberg へ贈ったキャリアアドバイスである。

Get on a rocket ship. When companies are growing quickly and they are having a lot of impact, careers take care of themselves. And when companies aren’t growing quickly or their missions don’t matter as much, that’s when stagnation and politics come in. If you’re offered a seat on a rocket ship, don’t ask what seat. Just get on.

「ロケット(的に急成長する乗り物)に乗りなさい。会社が急成長していて、大きなインパクトを創出しているのであれば、自然と素晴らしいキャリアがついてくるものだ。一方で、会社が急成長していなくて、どうでもいいミッションしか持っていないのであれば、そこには停滞感と政治活動が蔓延する。もし、ロケットに乗る機会を与えられたのなら、どんな席でも乗るとよい」

freeeは、あらゆるスモールビジネスが創造的な活動にフォーカスできる環境をつくるべく、ビジネスのプラットフォームの構築を目指している。それによりビジネスを経営することがよりクールなことになるし、小さなビジネスからより多くのイノベーションが生まれる世の中になるだろう。そのためには、まず、freeeはバックオフィス業務を効率化するソリューションとして圧倒的な支持を得るべく成長していかなければならないし、今後ビジネス領域もどんどん広がっていく。

そこには、いろいろな新しい挑戦や機会が待っているだろう。そして、僕達の「世の中を塗り替えるテクノロジー」はさらに高速で進化していくはずだ。

freeeが2016年に取り組むこと

みなさま、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

年明け第1号の投稿なので、今年やっていきたいことなどつらつら書いていきます。昨年の大型資金調達も活かして、さらに高速で成長していきます。

組織拡大と引っ越し

まず、昨年末24日オフィスを移転。場所は同じ五反田だが、今回はフロアが3つのフロアでの運営になる。昨年の年明けと比較しても、さらに チーム freee のメンバーの数は倍以上になった。チームのサイズこそ大きくなってフロアがわかれても、かわらず一丸となって取り組める環境をつくっていくことに積極的に取り組み、最強の変革者集団となっていきたい。

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上が2015年1月、下が2015年12月末

たとえば、各階の様子を映像で表示させて様子がわかるようにすることに加え、真ん中のフロアが会議室や多目的スペースになっているので、そこがコミュニケーションを活性化する場になっていくようにしていきたい。あとは、「アウトプット思考」でどんどん改善してく予定。

まだまだ、片付いておらず本格的に機能していない状態ではあるが、2月には本格的にグランドオープンできるようにしたい。

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多目的スペース – asobiba

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asobiba には畳スペースも(早くちゃぶ台買わないと)

これまでの freee 独自の価値創出をさらに追求

これまで freee は、freee が直接的に利用いただくユーザーに価値を創出することに注力をしてきた。この部分は大きな成果も出ており、当初は個人事業主の利用が中心であったものの、最近では法人での利用が急速に進み、法人での新規利用の数が個人事業主を上回るケースも出てくるようになった。そして、数百人規模の大きな法人で利用いただく事例なども増えてきており、価値を創出できる幅は大きくなってきている。

立ち上がった順の時系列で見ると、この点においては、次のような重要な要素がある。

誰もがカンタンに効率化を実現できるプロダクトづくり: freee の原点がここであり、少しずつユーザーセグメントや守備範囲をひろげる一方で、改善を繰り返してきた。最近リリースをした「質問に答えるだけで簡単に確定申告」できる機能などは、毎年の反省点や詳細なユーザーテストから産まれてきた改善の一つの大きな成果であるし、昨年リリースしたモバイルアプリ「 freee for チーム」は、職場における新しいバックオフィス側のコラボレーションのかたちを提唱している例である。

 

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オンラインを中心とするマーケティング: freee はオンライン上のユーザーの声を元に改善をつづけたことが成長のきっかけとなり、その後もオンラインを活用したマーケティングに注力をしている。例えば、リリース以降ずっと続けてきている「経営ハッカー」は非常に好評いただき、本格的なメディアに成長することができた。今後も最新の技術を活用しつつ、みなさまの役に立つことで freee の価値も拡散することを頑張っていきたい。

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これまでにない顧客体験を実現するサポート: freee は業界では初となるチャットサポートを導入し、これまでにないユーザーエクスペリエンスを実現してきた。常に、本質的に価値のあるかたちでサポートを提供したいという思いから産まれてきたこのカスタマーサポート体制は freee の大きな資産であり、さまざまな声をいただき freee がさらなる成長の種ともなる部分である。

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セールスの常識をくつがえすセールス: 完全なセルフサービスでは限界がある場合に freee の導入をサポートする目的で立ち上げたのが freee のセールスチーム。低価格なプロダクトの性質上、良質のサポートをスケーラブルなかたちで提供することがカギとなる。これまでの常識にとらわれないオペレーションづくりも進み、顧客に非常に喜んでいただけることもダイレクトに感じつづ、どんどんオペレーションを進化させている。(freee のセールスに関しても、追って投稿したいと思う)

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今年はこの上にエコシステムによる価値創出を

リリース以来まもなく 3 年となる freee だが、今年は上記のようなダイレクトな価値創出に加えて、パートナーとのエコシステム形成による価値創出にも大きく投資をしていく。これまでのノウハウをいかし、さらにユーザーへの価値創出をスケールさせていくことができそうであることが分かってきたからだ。年末にもアナウンスしているとおり、会計事務所、金融機関が今後さらに進めていくパートナーシップの中心となる。

「リアルタイム経営パートナー」化を提案&サポート

昨年末に、freee が会計事務所の「リアルタイム経営パートナー」化を提案&サポートしていく旨をアナウンスした。この「リアルタイム経営パートナー」とは、会計事務所が、業務の自動化をすすめるか顧問先のバックオフィス業務の自動化を実現をサポートすることにより、顧問先へリアルタイムなデータに基づいた経営の意思決定サポートを行うというパートナーシップのことを指し、会計事務所サービスの効率化と高付加価値化を同時に実現する考え方である。

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これにより、顧問先にとっては、業務が圧倒的に効率化されるだけでなく、早いサイクルで効果的なPDCAを回すことができるなど大きなメリットがある。そして、顧問先からのニーズとして、これまでの会計事務所サービス以上に「コンサルティングや業務改善へのアドバイス」を求める声もある。

会計ソフトのクラウド化が先行する国(オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカ等)では、会計ソフトのクラウド化により会計事務所の働き方がかわり、「なくなる仕事」ではなく、むしろクリエイティブな仕事として人数が増えていく仕事となっているという。

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この「リアルタイム経営パートナー」の考え方により、日本における会計事務所サービスに革新を起こせるようなサポートを行い、スモールビジネスを支える環境をよりクールなものとすることに貢献していきたい。

金融機関とのビジネス面での連携強化

こちらもまた昨年末から徐々にアナウンスしているが、金融機関向けのプロダクトをリリースし、さまざまな銀行とのビジネス面での連携強化を進めている。今回アナウンスしている連携内容は、 freee ユーザーの希望に応じて、freee の財務データにより与信とモニタリングのプロセスを大幅に簡便化しようとする試みで、これにより、スモールビジネスの資金調達における手続きが大きく簡素化されるだけでなく、さらに間口の広いサービスが提供される可能性もある。

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freeeのこのような取り組みは、ビジネスに必要なことがすべてクラウドで完結する「クラウド完結型社会」構想の一部であり、金融機関との連携・提携を通して、今回発表している融資の部分に限らず、さまざまな金融サービスのクラウド化とユーザーエクスペリエンスの向上に貢献していきたいと考えている。

例えば、我が国のスモールビジネスにおけるインターネットバンキングの利用率は23%にとどまるとも言われている。テクノロジーを活用して、ビジネスにおける摩擦を減らすことができる余地はとても大きく存在するのだ。

「カタチにする」一年に

これらの取り組みなどを通じて、今年は徹底的に世の中へのインパクトを「カタチ」にしていくことにコミットしていきたいと思います。特に、今年は僕は申年で歳男となります。縁起もあってか、さらに一層のエネルギーが出せそうな歳でありますので、また全力で邁進していきたいと思います。みなさま、引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

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freee では、世の中に新しい価値を提唱し、急拡大するビジネスを推進してネクストステップを築いていく仲間を大募集しています。詳しくはこちらまで。

 

世界の66のFinTech (フィンテック) サービスから見えた FinTech がもたらす未来

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最近 FinTech について聞かれることが非常に多くなってきた。聞かれることは書いてみようと思い、それを機に少し世界の事例もまとめてみた。起業する前にも見て、最近どうしているかを改めて知った例なんかもあって非常に面白かったので、クラウドサービスやスモールビジネスという視点でも今後書いてみたいと思う。

FinTech(フィンテック) とは何か

Wikipedia によれば以下のように書かれている。

Financial technology, also known as FinTech, is a line of business based on using software to provide financial services. Financial technology companies are generally startups founded with the purpose of disrupting incumbent financial systems and corporations that rely less on software.

“Finantial technology (フィンテック とも呼ばれる) とは、金融サービスを提供するためのソフトウエアを利用したビジネスを指す。FinTech 企業という際、多くの場合は既存の金融システムやソフトウエアを活用しきれていない既存の金融機関を disrupt すべく設立されたスタートアップを指す。”

少し前の時代には、FinTech といえば、金融機関が利用するようなバックエンドのシステムを指していたそうだが、2000年代後半以降、既存の金融システムにとってかわる新しい動きが出始め、そういった動きが FinTech とよばれるようになってきたようだ。

そして、2014年には、FinTech スタートアップに対するベンチャー投資額が前年度比3倍にまで増加し、まさに FinTech への注目が加速している。P2Pレンディング、自動投資顧問サービス、資産管理ツール、新しい決済手段など多くの新しい領域が形成され、世界レベルで競争が加速している。

なぜ今 FinTech なのか

なぜ今 FinTech なのか。2000年代の後半から徐々に広まり、ここへ来て爆発している背景を考えてみたい。

コンピューティングのローコスト化

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まず言えることとしては、コンピューティングのコストが圧倒的に低下しているということだ。具体的に、、、とも言われる。単純に、サーバーやストレージのコストが下がっているということに加え、Amazon Web Services (AWS) のようなクラウドコンピューティングサービスが金融サービスの分野でも活用できるようになったことが大きい。このため、ソフトウエアさえ開発できれば、ほぼハードウエアの初期投資なしに様々なサービスが提供できるようになるのだ。

特に、金融サービスの分野では、高いレベルのセキュリティが求められるため、データセンターへの投資などは非常に大きなものが求められていたが、近年では AWS のようなサービスが高いセキュリティレベルを担保し、実績としても信頼感が持てるようになってきていることは、FinTech 進展の礎として非常に重要なファクトである。

日本でも、AWSが金融機関に求められるセキュリティ基準を満たすことが確認され、発表されているし、ヨーロッパでは、金融関連当局から公認されている国もある。また、米国においては、国防総省においても、6段階のセキュリティレベルのうち、5段階目までの情報はAWSを利用して取り扱いできることになっている。

このように、高いセキュリティレベルを確保したコンピューティングリソースが初期投資なしに活用できるようになったことで、金融サービスにおいてもスタートアップが入り込み、さまざまなイノベーションに挑戦することが経済的に可能になったのである。

また、FinTech では、取り扱うデータ量が多かったり、機械学習や人工知能などコンピューティングコストが非常に高いアプローチを前提とするサービスも多いが、こういったことを実現するためのインフラのコストが落ちているという点も、イノベーションを加速する要因となっている。

スマートフォンの浸透

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次に、スマートフォンの浸透も重要な背景である。もちろん、「i-mode」のリリース時にモバイルバンキングは鳴り物入りのフィーチャーのひとつであり、これが「はしり」であることは間違いない。しかし、スマートフォンの浸透は、金融サービスにおけるイノベーションを加速させる重要な契機となった。

まず、スマートフォンの浸透は、さまざまなサービスのクラウド化を加速させた。スマートフォンやタブレットの利用が高まれば、「PCで見れるものはモバイルからも見れる」というのが当たり前になった。このため、情報がクラウド上にあることがデフォルトとなるというシフトが起きた。

次に、スマートフォンはアイデンティティの役割も担うようになった。肌身はなさず、利用されることが想定されているスマートフォンの場合、スマートフォンを活用した本人確認や認証は、高いセキュリティレベルが求められる金融サービスの提供において非常に使い勝手がよいのだ。

最後に、スマートフォンの浸透は、テクノロジープロダクト利用の裾野を大きく拡大させた。例えば、スモールビジネス(個人事業や中小企業)では、例えば飲食店などのようにあまりデスクワークを行わないようなビジネスも多い。そして、一般の消費者としての生活で考えれば、居間ではPCを開けるのはちょっと大掛かりというのもあったであろう。しかし、スマートフォンやタブレットの浸透により、このような場合でもより身近でテクノロジーを活用できる機会が圧倒的に増えた。それにより、FinTech 利用に対するニーズも一部のデスクワークの人々だけでなく、世の中全般に一気に拡大したのだ。

他業種でのイノベーションによる「ひずみ」

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そしてまた、他業界において、さまざまなイノベーションが起き、圧倒的に高いユーザーエクスペリエンスが実現され、ユーザーであるビジネスやコンシューマの期待値が非常に高まった。それにより、金融サービスによって提供できているものと、ユーザーからの当然の期待に対して大きなギャップができたというのも FinTech の背景として大きな重要だ。

Facebook, LINE, whatsappなどにより、コミュニケーションが変わった。例えば、友人に待ち合わせの店を教えるのがどれだけ簡単になったか。Dropbox や Box や Google Drive により、もはやメールにファイル添付の必要がなくなった。Gmail でメールボックスの容量を気にする必要はなくなった。YouTube や Spotify や Apple ミュージック や Kindle などで、音楽や書籍を圧倒的に簡単に楽しむことができるようになっている。現在の金融サービスは、これらのサービスが提供するエクスペリエンスに匹敵するレベルなのだろうか?

また、FinTech を刺激する動きとして、Uber や Airbnb といったシェアリングエコノミーの台頭は無視できない。オークション原理の活用、レビューを活用したリスクのコントロールといった、インターネットの力を利用してマクロ原理に立ち返り、これまでの歴史の中で短期的に常識とされていたものを切り崩し、よりよいユーザー・エクスペリエンスを実現した。この考え方はさまざまな FinTech ビジネスモデルに応用できるであろうし、Uber や Airbnb は突き詰めると業界に特化したユーザー・エクスペリエンスの高い決済システムと見ることもでき、そもそもこれらも FinTech なんじゃないかという見方もある。

FinTech の類型

では、FinTech にはどのようなビジネスがあるのだろうか。金融サービスの定義に立ち返ってまずは考えてみたい。

“1国内の政府・地方公共団体・事業法人・金融法人・非営利法人などの組織から個人に至るまで、あるいは国境を越えて異なる通貨単位間で為替を通じて国外の諸経済主体との間で、さまざまな経済主体が資金を調達し使用することによって生じる、経済の資金流通全体のことを指して「広義の金融」と呼ぶ。総称して「金融システム」と呼ばれることもある。また、空間上の資金の流れを指す「為替」に対する概念として、時間上の資金の流れを指して「金融」と称される場合もある。 (Wikipediaより)”

ここで、FinTech の対象領域を「広義の金融」をとらえた場合、大きく考えると金融サービスには3つの領域があると考えられる。

  • 時間的なお金の流れを担うもの – 投資・調達
  • 空間的なお金の流れを担うもの – 決済・為替
  • 経済主体のお金を管理するもの – 資金管理

それでは、具体的に世界中の FinTech で、どのようなサービスが存在するのかを類型にしたがって見ていこう。

時間的なお金の流れを担うもの – 投資・調達

まず、「狭義の金融」とも呼ばれる、いわゆる資金の融通に関するイノベーションを紹介したい。これには、一時的に余剰な資金を持っている人が「投資や運用」を行い、資金ニーズがある人が「資金調達」を行う。その手段としては、融資、債権、株式などいろいろな手法があるが、これまでの銀行や証券会社を前提とした手法に置き換わるプロダクトが登場してきている。

利便性の高いローン

利用するデータやプロセスを簡素化し、高いユーザー・エクスペリエンスや金融プロダクトとしての価値を実現

  • OnDeck – SMB向けの簡素化されたローン
  • Kabbage – 会計ソフトのデータやSNSのデータを利用して融資するSMB向けローン
  • Borro – オンライン質屋。高級品とかを担保とする。
  • Kreditech – ビッグデータ活用による個人向けローン
  • Nimble – 短期ローン(少し日本の消費者金融に近い)

P2Pレンディング

ローンを借りたい人と資金を運用したい人を直接マッチングし、オークション形式などで結びつける。与信審査などはプラットフォームが行う形式となっている。

クラウドファンディング:

株式投資型、社債型、購入型などがある

  • Ourcrowd – イスラエルの株式型クラウドファンディング
  • CirclesUp – コンシューマープロダクト専門の株式投資型クラウドファンディング
  • Angel List – リードインベスターとしての エンジェル の投資にシンジケートとして参加できるエンジェル投資のプラットフォーム
  • CrowdCube – 株式と社債でのクラウドファンディング (大好きなBrewDogに投資できるのでぜひやりたかったが、日本からは使えなかった)
  • Seedrs – 株式投資型
  • Kickstarter – 購入型

トレーディング

証券の売買についてのサポートツール

  • Robinhood – 手数料ゼロのモバイル特化型オンライン証券
  • Motif – 特定銘柄ではなくアイデアやコンセプトに投資するプラっとフォーム
  • eToro – ソーシャル投資ネットワーク。いい投資家の投資をコピーできる

保険

保険も重要な金融プロダクト。ただ、まだ FinTech としては未開拓な感じがする領域

  • Oscar – 医療保険と病院検索とヘルストラッカーがセットになっている。歩いた歩数でインセンティブもある
  • Marmarade Insurance – 運転の仕方をトラッキングする機能付きの保険

空間的なお金の流れを管理するもの(決済・為替)

次に、空間的なお金の流れとして捉えられる、決済や為替の手段におけるイノベーションについて捉えてみたい。経済主体同士で取引を行う際には、通常は資金の決済が伴うし、または海外の家族に送金をするというニーズもある。決済の手段にはどんなイノベーションがあるだろうか。

スマホカード決済:

Squareに始まったモバイルデバイスを活用したカード決済受付手段。日本では、楽天スマートペイやCoiney、Air ペイメントなど。

  • Square – モバイルデバイスでのクレジットカード決済
  • SumUp – ヨーロッパにおけるSquare
  • flint – Square のように別途端末を必要とせず、スマホのカメラから利用できるクレジットカード決済

新興決済手段:

カードなどに変わる新興決済手段。日本ではLINE Payなど。

  • Dwolla – モバイルデバイスにひもづく決済手段。手数料が非常に低い。ホワイトレーベルでの提供も開始した。
  • GoCardless – 口座振替支払プラットフォーム。加盟店は、口座振替により簡単に決済を受け付けられる。
  • m-pesa – モバイルデバイスに紐づく決済。ケニアではGDPの50%がこのm-pesaによる取引といわれる。
  • Klarna – e-commerce 向けの、配達完了後に実際に決済する決済手段。
  • PayNearMe – 現金払いでe-commerceを実現する決済手段。日本のコンビニ払いと同等。
  • AstroPay – プリペイドのクレジットカード。カード詐欺の多い新興国で人気。
  • ZipMark – スモールビジネス向けの電子小切手
  • Apple Pay – iPhone での決済
  • Venmo – 簡単に割り勘などができる個人間決済アプリ。Acquisition により Paypal 傘下。

API:

開発者向けに決済システムの構築や支払いシステム構築を楽にするもの。日本ではWebpayなど。

  • Stripe – 開発者フレンドリーなカード決済実装用API
  • Tipalti – 世界中への支払いに対応した支払い用API

海外送金:

これまでの海外送金の手数料は高すぎた

Bitcoin:

すでに決済手段として実用化しはじめている

  • CoinBase – Bitcoin によるデジタルウォレット
  • Bitpay – Bitcoin を利用した決済代行
  • epiphyte – 銀行がbitcoinをあかえるようにするためのバックエンド

経済主体のお金を管理するもの – 資金管理

経済主体の資金の動きや資産や負債の状況を管理することも大きな課題である。自分たちの状況を知ることはよりよい意思決定をする第一歩であるし、状況を知ることによって付随して自動化できる意思決定もあるだろう。スモールビジネスの財務をサポートする freee も、まずはこの機能を担っている。

自動化された投資顧問サービス:

低料金でアルゴリズムによるプライベート・バンキングサービスが利用できる仕組み。米国では現在乱立するモデル。証券口座などと同期し、設定したゴールにしたがってベストな投資ができる。日本では、お金のデザインやWealth Naviなど。

ビジネス向け資金管理ツール:

まさに freee のいる領域。

  • Quickbooks Online – SMB向けクラウド会計ソフト(US)
  • xero – ニュージーランド発、クラウド会計ソフト
  • wave accounting – カナダ発、クラウド会計ソフト
  • Freshbooks – 請求書ソフトに会計機能が付加されたフリーランス向け
  • Bode Tree – SMB向けのビジネス・インテリジェンスツール
  • TradeShift – 取引先と購買管理

パーソナルフィナンシャルマネジメント(PFM):

日本では、マネーフォワードやMoneyTreeなど。

  • Mint – 自動家計簿の元祖。アカウント・アグリゲーションに加え、予算管理や支払い予定の管理機能がある。
  • BillGuard – カードなどの不正利用のトラッキング機能がついたアカウント・アグリゲーションサービス
  • Level – 予算管理アプリ

クレジット管理

フィナンシャルプランニング

  • PlanWise – 不動産購入に特化したプランニングツール
  • LearnVest – 個人用フィナンシャルプランニングツール

カード・リンクト・マーケティング:

クレジットカードの利用履歴を利用したマーケティング・ソリューション。日本ではカンムなど。

  • Cardlytics – カードリンクトマーケティングのプラットフォーム
  • CardSpring – カードにリンクしたアプリを簡単に開発できるSDK

FinTech によって何がかわるのか

FinTech がもたらす流れとして、まず上記の3分類の融合が続くとかんがえられる。例えば、Square Capital などは好例だ。Square が、加盟店のキャッシュ・フロー・データを利用して融資を提供する仕組みであるが、例えば決済のようにお金の流れを司るツールであれば、それを利用して、与信を提供することができる。資金管理のツールも同様だ。

とどのつまり、金融とはデータのビジネスである。僕が学生時代にデータサイエンスに興味を持ったきっかけもまさに金融工学であった。金融サービスは、例えば、Uber や Airbnb と異なり、キャッシュ以外に一切リアルのインタラクションを必要としないサービスである。そしてまた、高度に信用が進化した現代においては、現金の存在自体の意味もどんどん薄くなりつつある。

すべてがデータなのだとすれば、金融サービスはもっともテクノロジーと相性がよい業界である。取引自体がどんどんデータ化することで、世の中の生産性がアップするとともに、人工知能などと相まって、より最適な金融プロダクトができていくだろうし、経済原理によって、あらゆることが最適化されていくだろう。

本当の意味で、経済原理がリアルタイムで働いていく時代がくるのだ。

freee と FinTech

最後に、freeeがどのようにFinTechとして価値を産んでいくのか、その構想に触れたい。

freeeは現在のところ、主にビジネス向けの会計ソフトを提供しており、ビジネス向けの資金管理を司り、それを自動化し簡便化している。しかし僕達が実現したいことは、「スモールビジネスに携わるみんなが創造的な活動にフォーカスできる」ことであり、ビジネスにとっては難しい資金繰りなどファイナンス上の課題解決が自動化されたり、取引を行うにあたり必要なプロセスがすべて自動化される未来をつくることができると考えている。もちろん、実現するにはテクノロジー的にもビジネス的にも面白いチャレンジがいっぱい待っているだろう。

みんながイノベーションであったり、人間的な時間の過ごし方にフォーカスできる時代が今すぐそこにきている。2010年代後半は、とてもエキサイティングな時代となるに違いない。

 

freee 3周年 – 小さいビジネスほど強くてカッコいい流れをつくろう

毎年、真夏のジリジリした太陽とにらめっこすると、freeeの開発に着手した3年前を思い出す。カーンと晴れた空を見ながら、強めにエアコンと J-WAVE をかけて、僕と横路はひたすら開発と議論に没頭した。

自宅で開発をしていたので、昼飯以外には外には出ない生活。お決まりのように午後1時に昼飯に出ると、強い日差しと照り返しに、毎日ぶったおれそうになったものだ。

すでに1ヶ月も前となってしまったが、2015年7月9日、freeeは3周年を迎えた。今年は、7月10日に全社で合宿をしていたこともあり、合宿の場でお祝いをした。

そんな3周年という節目として、freeeの第3期を振り返ってみたい。

1. 事業の拡がり

まず、シンプルにプロダクトが増えた1年であった。

主に個人事業主向けの会計ソフトとして立ち上がった会計ソフト freee も、この1年で法人向けでも大きく進化をとげ、200人規模の事業所でも利用されて大きくビジネスを効率化するほど、本格的な会計ソフトとして成長した。これは、細かな設定や使い勝手を強化するだけでなく、経費精算機能・請求書読み取り機能の追加や請求書発行機能の強化し、「バックオフィス最適化」という新しいコンセプト(後述)を実現し始めているなどによる。

2014年10月にはクラウド給与計算ソフト freee の正式版をリリース。給与計算ソフトの非連続的な進化を実現した。開発にあたっては、エンジニア、マーケティング、カスタマーサポート等が一体となってチームをつくり、誰でも簡単に年末調整までこなすことができ、1クリックで給与計算から明細配布までができるプロダクトを世に出すことができた。

2015年6月には、会社設立 freee をリリース。このプロダクトの原案は、昨年の社員合宿(オフサイト)からあがってきたものであるが、確定申告後の次の一手として、全社戦略に合致するものであったことから、すぐにプロジェクトチームを結成し、短期間でのリリースにいたった。リリースは非常に大きな成功を納め、freee はスモールビジネスの誕生を支援し(会社設立)、日常を支援し(経理)、成長を支援する(給与計算)バリューチェーンを構築することができた。(関連記事)

プロダクトラインを拡充することは簡単なことではない。プロダクトや販売方法、カスタマーサポートの複雑化が進むし、戦力が分散するリスクもともなう。僕個人としても、以前のスタートアップの経験から、スタートアップにとっての事業の分散化がどれだけ大きなリスクを伴うかを目の当たりにしてきた。

しかし、そのような困難を乗り越え、プロダクトライン拡充を成功させるにはいくつかのカギがあると考えている。

  1. プロダクトライン間の強いシナジーがあること
  2. プロダクトライン間で提供する共通のストーリーがあること
  3. 組織内に強いカルチャーと信頼関係が存在し、各プロダクト・サービスを担当するチーム間で濃くかつ信頼感の高いコミュニケーションが存在し、全員が組織の提供するサービス全体のことを意識できていること

おそらく、この3つの論点は相互依存的でもあるかもしれないが、これを実現するかたちで、さらにプロダクトラインの拡充を進めていきたいと考えている。会社設立freeeのような新規のアイデアをもっと溜め込み、事業として実現をしていきたい。

また、別の視点から見れば、僕たちは、スモールビジネス向けにクラウドで価値を提供するという視点では完全にフォーカスして、一点もぶれていない。この「スモールビジネス ✕ クラウド」に特化していることは freee の大きな強みでもあるし、この領域の中で、やるべきことは非常に多くあるのだ。

2. 顧客体験を軸にサービス全体としての freee を再構築

freee の当初のビジネスの推進方法は非常にシンプルであった。

  • とにかくいいプロダクト(ソフトウエア)を高速でつくろう。
  • それを知ってもらおう。
  • そして、使ってもらってわからないことがある人には全力でサポートしよう。

これはこれで、少人数で急速に成長するビジネスを支えるには、よいアプローチであったのだろう。しかし、freee にとって昨年度はこれを大きく一変させる年となった。

簡単にいえば、この一年は、単にソフトウエアとしてではなく「サービス全体」として価値あるものを提供したい、という思いのもと、がむしゃらにやってきた一年だった。がむしゃらにやってきたのではあるが、振り返ってみるとそれは、僕達の都合 (供給側の都合)から離れて、顧客体験を軸にソフトウエア・コミュニケーション・人的サービスを再構築するという、とても当たり前のことでもあった。

例えば、一番大きな変化はセールス組織の立ち上げであった。誰でも簡単に使える業務ソフトを目指すfreeeであるが、オンラインだけでは、理解をしてもらえない局面もやはり沢山ある。その中で、顧客ひとりひとりのニーズをしっかりと把握し、freee の導入を価値あるかたちで支援するのがセールスチームのミッションだ。freee のセールス組織を立ち上げていくなかで勇気づけられたのは、導入いただいた際に顧客に非常に喜んでいただけるケースが多いというところであった。まさに、顧客体験を軸に考えると、「freee を知ってもらう」と「freee を使ってもらう」の間にひとつ大きな溝が存在していて、そこに橋をかけるきっかけをつくることができたのだ。

また、顧客体験を軸に考えるともう一つ重要な視点がある。それは、多くの場合、法人においては会計ソフトは税理士さんと一緒に利用されるという事実だ。こちらでも、freeeを利用して顧問先にサービス提供するパートナーである「freee 認定アドバイザー」を増やしていく、というのも顧客体験においてかけるべき大きな橋であった。この一年ではこちらでも大きく進捗があり、1,400を超えるの会計事務所さん等に認定アドバイザーとして登録いただくにいたった。1年間の達成としてはとても大きなものであったが、もちろん、まだまだやるべきことが残されている。

このような橋渡しを、新たなチームを発足し、試行錯誤を繰り返し、サービスとして、事業としての成長を実現してきた1年だ。このようにサービスを充実させることにより、顧客接点からソフトウエアとして改善すべきことが見出され、開発チームがそれを改善していくというサイクルが自律的に行われ始めてもいる。

また、日本に600万あるとされるスモールビジネス向けのサービスを提供する freee としては、このようなサービス拡充もスケーラブルなかたちで行わなければならない。そのためには素早く実行することはもちろんのこと、テクノロジーを活用したり、クリエイティブなアイデアを出していくことが必要で、セールスもマーケティングもビジネス開発もサポートも、「世の中に変革を起こすラボ」のような取り組みをしてきたな、振り返ってみると思える。

今後もさらに、この顧客体験における橋渡しを、さまざまな方法論でうちだしていかなくてはならない。

3. 自分の役割 ⇛ 事業開発から経営へ

3年目の freee と僕の意識を考えてみると、大きく変わったことがひとつある。それは、自分の仕事が事業開発から経営に変わったということだ。

おそらく、最初の起業家の役割とは基本的にはプロダクトなり事業なりを開発することだ。狩人軍団、カウボーイ軍団の中心的存在として大暴れする。Zero to One にはそれが欠かせないだろう。しかし、集団が一定規模を超えると、そうもいってられない。むしろ、ウワサを聞きつけて集まった優秀なメンバー達がどんどん成果を出し、ワクワクするような経験ができるような環境をつくらなくてはいけない。

僕個人としては、そんな転換が強く大きく起こった1年だった。組織カルチャーとか、いろんなものごとのサイクルとか、メンバー全員でより大きなことを成し遂げるための考え方とか、用語の定義とか、それをいかに有効かつ自分たちらしいものにするかをつくっていく。そしてこのような問いも参加型で皆が関わって答えを出していかなくてはならない。皆で議論してブラッシュアップしていった価値基準や、チームミッションをセットして振り返ることなんかは非常に重要なアウトプットだ。

こういったことから、自分の時間の使い方や、興味や関心事、気をつけることなどは非常に大きく変わった一年だった。

4. 新しいコンセプトへの挑戦

これらの大きな変化の1年間で freee は、あらたに2つのコンセプトを打ち出した。

バックオフィス最適化

会計ソフトとして、経理の自動化に取り組んできた freee だが、2014年10月には会計ソフトの枠にとらわれず、バックオフィス業務全体の省力化を実現する「バックオフィス最適化」のコンセプトを打ち出した。受け取った請求書をスキャンして読みこめば、会計ソフトへの記録だけでなく、銀行振り込みまでができる。freee の給与計算を利用すれば、会計 freee にも連動する。従業員の経費精算も freee でできる。freee で簡単に請求書発行と入金管理ができる。これらが、バックオフィス最適化が実現することだ。

単なる会計ソフトの時代は終わった。これから、会計ソフトは業務全体を効率化するものになるのだ。(関連記事)

クラウド完結型社会の実現

これまで、ビジネスのバックオフィスの現場では、どうしても書面でのやりとりが必要になっていた。これは行政の仕組みや法規制によるものが大きかった。例えば、従業員が入社した際には行政に対して多くの書面手続きが必要であるし、領収書や請求書は紙で保存される必要があった。ところが、これらが政府の電子化の政策により大きく変わってくる潮目にある。その中で freee は、クラウド完結型社会の実現というコンセプトを掲げ、これにコミットしている。行政の手続きや、書類の保存などバックオフィスにおけるすべての部分において、 freee からクラウドで完結できる社会の実現である。(関連記事)

この構想のファースト・ステップとして、2015年5月には、日本初となるe-gov API (政府の提供する電子手続きAPI)を利用した「労働保険の電子申告機能」を給与計算 freee上で実現した。給与計算 freee 上で、給与計算をしていれば、数クリックで労働保険の電子申告ができるというものだ。このように、クラウドでさまざまなことを完結させることができれば、生産性は大きく向上する。そしてまた、今年10月より配布が開始されるマイナンバーの導入もこの動きに拍車をかけることが予想され、freee も「マイナンバー管理 freee」の提供を発表している。

現在、日本においては、生産性の向上は非常に大きな課題である。(日本再興戦略 改訂2015においても「生産性革命」は大きな柱となっている) そのための大きなカギが、このバックオフィス最適化とクラウド完結型社会の実現にあると僕達は考えている。そのような大きなコンセプトを打ち出し、その実現へ向けて成果を出し始めることができたことは、この一年の大きな進捗であったように思う。

そしてその次に

freee はクラウド会計ソフトにおいてシェアNo.1のプロダクトとして成長している。しかし、僕達の実現すべきことは、「スモールビジネスに携わるみんなが創造的な活動にフォーカスできる」ことであり、このミッションを追いかけるためには、単に会計ソフトや給与計算ソフトだけでは不十分である。

会計ソフトという、あらゆるビジネスで必要とされる根幹となるシステムを基点に、スモールビジネスにとってのビジネスのプラットフォームとして成長し、大きな価値を提供していくというのが今後の構想だ。これまでにない新しい価値をきっとたくさんうむことができるだろう。

小さなビジネスほど強くてカッコいい。そんな時代をつくるんだ。

さいごに

3周年のお祝いにて、「3つの子魂100まで」という話をした。きっと、これは会社にも言えるということだ。freee の3年目はきっと、これから長く続く新しい価値そして組織の魂をつくるような面白い年になる。

クラウド会計ソフトでのシェア、freeeがNo.1になるまでにした5つのこと – 2014年のまとめ

新年、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

(以下、文語にて)

2015年初のブログポストは昨年のまとめとして2014年のfreeeを振り返ってみる。最も大きなマイルストーンは、クラウド会計ソフトにおいて、freeeがシェアNo.1 であるということが確認されたことだ。(デジタルインファクト調べ「クラウド会計ソフトの利用動向調査」より)」

会計ソフトシェア

クラウド会計ソフトのシェア

これが達成できたのはもちろん、freeeを支えていただいている皆様のご支援にもとづくものであり、まずは皆様に大きな感謝を申し上げたい。そして、その背後にどのような動きがあったかをあわせて振り返ってみる。

1.「経理をとにかく簡単にして自動化する」挑戦と進捗

freeeの掲げるミッションは、「スモールビジネスに携わるみんなが創造的な活動にフォーカスできるような環境の実現」であり、そのために、バックオフィスの業務をテクノロジーによって簡便化・自動化していくことを目指している。freeeが最初に実現したことは、「シンプルなビジネスを想定した際に、経理の業務を限りなく自動化し、個人事業主であれば確定申告まで自動で簡単にできる」ということであった。

結果として、2014年2-3月の確定申告においては、freeeで確定申告をしていただいたお客様の51%超が確定申告の作業が2時間以内で終えたということがわかっており、これまでのソリューションでは何日もかけて苦労する方が多い現状を踏まえると大きな進捗があったといえる。

また、昨年には業界初となるチャットサポートの提供も開始し、お客様の疑問点等を素早く適切に解消する体制を整えることができた。もちろん、初の試みであったため、導入初期には必ずしもご期待に添えない場面もあったのではあるが、現在ではチーム体制とノウハウ含め盤石な体制を築くことができた。

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さらに、問い合わせが多い部分などを中心に、ユーザーインターフェースの改善も大きく進捗した。昨年の確定申告期以前の freee をご覧になった方は、現在の freee をご覧になってもその差に驚くはずだ。確定申告においてfreeeを利用される方には、申告の時期のみログインして利用される方もいらっしゃるが、最近よく驚きの声やよいフィードバックをいただいている。また、あわせて、iOSとAndroidにおけるモバイル・アプリの提供も開始し、モバイルからでも簡単に経理ができることを目指して日々改良を進めている。

UIの進化

2. 新コンセプト「バックオフィス最適化」とモバイル

昨年11月には、「バックオフィス最適化」という新しいコンセプトを発表した。

freeeが個人事業主の方だけでなく、法人の方からも積極的に利用されるようになってきたことをうけ、単なる「簡単で自動の会計ソフト」という枠を抜け、経理周辺のバックオフィス業務全体を最適化を目指そうとするコンセプトである。もちろん、中小規模の法人での利用を想定したものだ。

例えば、小さな会社における経費精算のプロセスを例にとってみる

  1. 従業員が経費申請フォーム(エクセルなど)に記入する
  2. 従業員がレシート等を紙に貼り、フォームとあわせて経理に提出
  3. 経理担当者や上長が1.と2.を確認して承認
  4. 会計ソフトに精算について記録
  5. 銀行にて各従業員に支払を登録
  6. 会計ソフトに支払った旨を記録

というようなプロセスであった。これをfreeeの経費精算機能を利用すれば、

  1. 従業員がモバイル・アプリやwebからレシートを写真撮影し、経費申請
  2. 経理担当者がfreee上で申請を確認して承認
  3. 各従業員への振込情報を含んだ総合振込ファイルをfreeeからダウンロードして振込

という3つのステップで済むようになる。

経費精算 iPhone経費精算 web

また、小さな会社において、請求書を受け取ったときのフローも考えてみよう

  1. 従業員が請求書を受け取る。内容確認の上、経理に提出。
  2. 経理担当者が内容を確認し、支払管理表(エクセルなど)に入力
  3. あわせて、会計ソフトに「買掛金や未払金」として入力
  4. 支払日に銀行にて振込を登録
  5. 会計ソフトにて買掛金や未払金を消し込み
  6. 支払管理表のステータスを変更

このようなプロセスも、freeeのファイルボックス機能を利用することで下記のように単純化される

  1. 受け取った請求書をスキャンしてfreeeに登録(モバイルから撮影も可能)
  2. freeeのOCR(スキャンした請求書の自動読み取り機能)の補完を利用して、請求内容をfreeeにほぼ自動で登録
  3. 支払日に振込用のファイルをfreeeからダウンロードして支払

ファイルボックスiphoneファイルボックス - 請求書みながら修正

10月には、「クラウド給与計算ソフトfreee」として、freeeの給与計算機能をリリースした。これも同様に従来の業務を考えてみると、

  1. 従業員の情報を人事担当者(や経営者)が取得して記録
  2. 毎月、従業員の勤怠情報を記録(タイムカードなど)
  3. 人事担当者が毎月の勤怠情報を集計
  4. 人事担当者が各従業員の給与額、源泉所得税、社会保険料を計算
  5. 人事担当者が給与明細を作成、印刷、リアルで配布
  6. 経理担当者が銀行から各従業員に支払
  7. 経理担当者が会計ソフトに記録

これをfreeeでは、

  1. 従業員が、自分の情報をfreeeに登録
  2. 従業員が、毎月の勤怠情報を集計
  3. 人事担当者が、ワンクリックで給与明細を作成、オンラインで配布、銀行支払ファイル作成、会計ソフトに記録できる

と大幅にプロセスをカットすることができるのだ。

このように、単に会計ソフトへの記録をラクにするという発想ではなく、経理周辺の業務プロセス自体を大幅に改善し、小さなビジネスのメンバー全員がより効率的に働ける環境をつくろうというコンセプトがfreeeの掲げる「バックオフィス最適化」の趣旨である。

バックオフィス最適化

このコンセプトをしっかり実現するためには、モバイルでの利用を簡便化することが不可欠であり、モバイルのファイルボックス機能(領収書や請求書などの画像ファイルをアップロードし、OCRにて読み取り、取引に紐付けができる機能)や経費精算機能を中心に2014年には大きな進捗があった。

特に、小さなビジネスであればあるほど、多様な働き方をサポートする必要がある。freeeではそのような多様な働き方をサポートするため、モバイルでのユーザビリティについても大きく投資をしている。

3. さらに大きな価値を提供する freee のエコシステム

freeeのミッションは「スモールビジネスに携わるみんなが創造的な活動にフォーカスできる」ようにすることであるが、そのために必要なものすべてを freee が提供できるとは考えていない。経営者にとって、より身近な専門家の知恵やサービスが必要な場合や、部分的に他のツールを利用したい場合なども多くあると考えている。

そんな場合にも freee は他のパートナーやツールとのオープンな連携をサポートするプラットフォームとして活用いただくことで、これまでにない利便性を提供することを目指している。

まず、全国の会計事務所・税理士事務所を対象として、freeeを活用したサービス提供を支援する「freee 認定アドバイザープログラム」では、会計事務所を支援すべく、ほぼ毎日の体制で研修プログラムを実施し、すでに600を超える会計事務所にアドバイザーとして登録をいただいている。

世界一ラクにできる確定申告会社の経理を全自動化する本

クラウド会計ソフトは、会計事務所等外部のアドバイザーとスモールビジネスが共同作業をするのに最適なツールである。場所が離れていてもインターネットを介して同じデータを見ることができるため、コラボレーションが簡単になる、データが即反映されるなどのメリットがある。最近では、「外部のアドバイザーにお願いしている毎月の財務状況のレポートを、freeeを活用することにより早く確定させたい」というニーズが非常に増えている。

また、外部ツールとの連携も、freeeは当初よりオープンなAPIを提供することで積極展開をしているが、2014年には新しく18 の連携も追加し、銀行やクレジットカード明細との連携以外にも幅広い自動化が大きく進捗した。リクルート社のPOSレジアプリ「AirREGI」や、スマホ決済の「square」、Google Apps 連携などは特に好評だが、請求書ソフト、ECプラットフォーム、決済代行、税務ソフト等さまざま連携が広がっている。

連携の図

4. チーム拡大とその舞台裏[l]

一昨年末、freeeのスタッフは12人程度であった。昨年で累計17億円を超える資金調達により積極投資をおこない、2015年開始時点ではスタッフは総勢90名を超える陣容となっている。ソフトウエアとサポートをあわせて freee というサービスであり、このソフトウエア開発を支える開発チームと、お客様に迅速で的確なサポートを提供するカスタマーサポートチームを大きく拡充した。よって、1-3月の会計ソフトの大きな需要期においても盤石な体制でサービスを提供できる体制を整えることができた。

TGIF写真

開発チームは、ゲーム業界などでの経験を磨いた優秀なエンジニアと、業務アプリケーションに造詣の深いエンジニア、グローバルカンパニーのUXデザイナーやデータサイエンティストがチームを組み、高速で新機能追加と改善を果たしてきたことに対して、大きな注目をいただいた。昨年夏には開発者向けの雑誌「WEB+DB PRESS」にて、freeeの開発の舞台裏が特集としても取り上げられた。

WEB+DB PRESS

サポートチームは、経験に秀でたコアメンバーによって運営されており、マイクロソフトやGoogleなどのテクノロジーカンパニーや大手金融機関のサポート体制を構築してきたメンバーや、公認会計士試験合格者や中小企業経理の長い経験を持つメンバーが中心となっている。カスタマーサポートというオペレーションのプロフェッショナルと、経理業務のプロフェッショナルが見事に融合したチームでサービス提供をしている。

サポート集合写真

これらの急拡大においては、意思決定における共通認識をもつことが、組織のチームワークを最大化する上で、非常に重要になる。以前このブログでも書いた価値基準の決定プロセスはメンバーの共通認識を取ることにおいて大きく役に立っている。

このようなチームを築くため、昨年6月には現在の五反田オフィスに引っ越しをした。以前のオフィスの4個分以上のサイズの新オフィスは、全員が顔をあわせる1フロアで、全社ミーティングや外部イベントにも使えるゆったりしたリフレッシュスペースを備える。そしてこの新オフィスは昨年大きく話題も呼んだ。

リフレッシュスペース1 オフィス2

このような急成長を支える裏側には、もちろんクラウドサービスの活用からも恩恵を受けている。会計ソフトや給与計算ソフトの自社利用はもちろんのこと、freeeは何から何までクラウドサービスを利用してできている。カスタマーサポートや採用などにもクラウドを活用することはもちろん、珍しいところでは従業員との契約までクラウドの電子署名を利用している。現在も、freeeには経理や人事の専任がいない体制で事業に望んでいるが、そのような身軽な経営ができるのもこのクラウドサービスのお陰である。新しい考え方を世の中に提案するには、自分たちがまずその考え方の徹底的な実践者にならなければならない。

5. スモールビジネス向けクラウドサービスの活性化

最後は外的要因ともいえるが、freee がリリースされた 2013年3月から2014年の3月にかけて、日本の中小企業におけるクラウドサービス利用率が15%から23%へ 8 ポイントもアップした。(平成25年・平成26年通信利用動向調査より、売上5億円以下の企業対象)

クラウドサービス利用率

これはもちろん freee による直接的なインパクトも含まれるが、日本においてさまざまなジャンルにおけるスモールビジネス向けのクラウドサービスが活況を呈してきていることが大きい。例えば、freee が以前優勝した、スタートアップのデモイベント Launch Pad においても、スモールビジネス向けのクラウドサービスは2年前は freee くらいであったのが、前回の Launch Pad においてはいくつもファイナリストにノミネートされた。

他にも、POSレジ、予約管理、企業支援、マーケティング支援、販売管理などさまざまな分野で急成長のクラウドサービスは多く出てきているし、クラウドストレージなどは急速に普及している、業界全体が大きく活性してきているのだ。

僕が freee を立ち上げるにいたる最も大きな目的は、「日本のスモールビジネスにおけるテクノロジー活用の促進と生産性向上」であったから、freeeがこのようなトレンドをつくる一つのきっかけとなれたかもしれないということは、ビジネスを超えて非常に喜ばしいことだ。

もちろん、こちらのクラウドサービス利用率は米国では59%ともいわれており、日本においてまだまだ成長の余地は大きい。そして、野村総研の調査によれば、日本のスモールビジネスが米国並みにクラウドサービスを活用することで、およそ6兆円もの経済効果があるともいわれている。このような便益を実現すべく、日本の中小企業の生産性向上に貢献できるよう今年も全力をつくしたい。

さいごに

このようなかたちで、皆様に支えられてfreeeは2014年も素晴らしい成長をとげることができた。もちろん、目指していたところで達成できなかったこともある。より、多数のお客様にわかりやすくお使いいただくためには様々な試行錯誤も必要で、その中で様々な施策のすべてが成功する訳ではなかった。ただ、そのような失敗も含め、さまざまなことを学ぶことができたことも2014年のfreeeの大きな収穫であったと思う。

あらためて、freee を昨年支えてくださった皆様に大きな感謝の意を示すとともに、2015年もfreeeがさらに全力で新しい価値の提供に取り組むことを誓いたい。通常はこういった年始のご挨拶では、方針など示すことが通常であると思うが、ひとまずは1-3月の繁忙期に最高のサービスを提供することがもっとも重要で、僕達はそこにフォーカスしていきたいと考えている。

皆様、今年も一年、 freee のよりよいサービス提供につき、忌憚ないご指導およびご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。